インタビュー

INTERVIEW

「住まい」と「健康」の関連性に気づいていないあなたへ伝えたい、
設計事務所代表の話。

株式会社 創都設計 代表取締役社長 大東 俊也

創業は昭和44年。住宅にとどまらず、ガソリンスタンドや飲食店、クリニック、オフィスなど多様な建築物の設計・施工監理、また飲食店「串しゃぶ 菜彩」の経営など幅広い分野を手掛ける株式会社創都設計。多彩な建築物を手がける同社代表取締役の大東 俊也は、自然素材・断熱性能にこだわったリノベーション『naturuth』を展開している。一般的とされている日本の住宅品質の現状を知ってもらい、日本全体の住環境レベルを高めるための事業である。

1. 日本の住環境に対する違和感から生まれた「naturuth」

そもそもnaturuthの概念はどこから生まれたものなのか。

naturuthについて考え出したきっかけは、息子がアトピーになったことです。アトピー性皮膚炎について調べていくと、原因が特定できないいくつもの要因が重なって影響する多因子性の病気ということがわかりました。さらにその要因の中に、ほこり、カビ、ダニ、水、化学物質を含む住宅建材があることを知り、自分が関わってきた住宅が病気の一因かもしれないと気づき、罪悪感と共に、これはどうにかしないといけないという正義感が生まれました。設計事務所代表の建築士として、そして子を持つ親として、どのようにしていけば、体にストレスをかけない本当に健康な住まいができるのかと思い、日本の建材や住環境について調べ始めていきました。」

現在の日本の住環境は、多くの懸念すべき点があるという。

「大学教授の先生方にもご協力頂きながら建材と健康の関係性について調査する中で、日本の住宅建材の基準が世界と比べると決して高いとは言えない現状を知りました。その背景には、1970年代の高度経済成長期における住宅着工が大きくかかわっています。このころは、短期間に多くの住宅やマンションが建設され、その膨大な工事量に対応できるようにビニールクロスや化学物質を含む新建材(※1)が開発されました。それが人体にどのような影響がでるのかは後回しにされ、施工のしやすさが優先されたのです。のちにこの頃の住宅建材が原因で、昨今のシックハウス症候群(※2)をはじめとする新建材や石油化学製品による人体被害が発生しました。」

現在流通している新建材は、人体被害を軽視した社会的背景によるものであると語る。そして、居住者の視点に立った住環境づくりこそがnaturuthであるという。

「高度経済成長期に開発された施工性重視の新建材を利用した住宅は、その圧倒的な棟数により一般的でありふれたものの様に感じますが、それらは当時の社会的背景によって、やむを得ず量産されたということです。それが現在、人体に悪影響をおよぼしている可能性があるとわかってきているのに、便利さや施工性・生産性の良さから、それらを使い続けているのが現状です。多くのハウスメーカーや工務店では今でも、ビニールクロスなどの石油化学物質を含む新建材が標準仕様とされていることが多いですし、人体被害そのものをわかっていないし、それが当たり前だと思っています。よく言われる新建材で建てられた新築のにおいは、石油化学物質のにおいであり、目が痛くなったり、体に異変があるのはおかしいのです。新築なので、窓をあけて、換気をよくしてください。っていう言葉はありえないのです。そのおかしな現状を理解して欲しいし、体をいたわった住環境を追求し、人々の健康面について安心できる住まいを提供したい。そして、この考え方が日本に根付いてほしい。そんな思いから『naturuth』を始めました。」

※1 主として第2次世界大戦後に開発されたものをさすことが多い。スチロール,ウレタンなどの断熱材,塩化ビニル,ポリエステルなど壁や家具に使われる板材のほか,化粧板,プラスチック床材などがある。施工性にすぐれ,かつ各種の建築性能や表現効果をねらって多種多様な製品が開発されている。
※2 建材・内装材などから屋内の空気中に発生する有機化学物質が引き起こす病気や症状の総称

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2. 疑問視すべき日本の住環境

過去には、量産された新建材(※1)による健康被害が多数報告されていた。現在は建築基準法改定により被害規模は縮小しているものの、未だに抜本的解決には至っていないようだ。

「まずシックハウス症候群(※2)について、今はもう心配なくなったと思っていませんか?最近あまり耳にすることがなくなったこともあり、解決されたように感じる方も多いと思います。もちろん建築基準法改正によりホルムアルデヒド等の含有量の規制ができたために当初より被害は縮小していますが、現在の法律では、その根本的な解決ではなく、毎日24時間換気扇をつけっぱなしにすることが定められているのです。詳しくはリノベーションにまつわる知識をまとめたサイト『SOUT NOTE』にて解説しています。」

「当初はその法律に則り、24時間換気に指定した換気扇は、簡単に消せない仕様となっていました。しかし電気代がもったいない、空調の効きが悪くなるなど、消せないことに対して数多くのクレームが寄せられ、現在は24時間換気と書かれたスイッチをつけるという妥協案のような対策になっています。つまり、化学物質の放出量を基準値以下にできるかどうかは皆さんの責任となってしまっているわけです。 」

国が取り決めた対策と居住者の間には矛盾が生じていた。そのほか住宅の断熱性能についても警鐘を鳴らす。どの程度の品質なのかを聞いたところ、具体的なデータを挙げてくれた。

「断熱性能に大きくかかわる窓枠(サッシ)についても同様のことが言えます。皆さんのご自宅の窓枠の素材は何でしょうか?その素材ごとに断熱性能が大きく変わります。以下のリストは、主に窓の素材として利用されるそれぞれの素材について、熱の伝わりやすさを数値化したものです。数値が大きいほど、熱が伝わりやすいことを示しています。」

アルミニウム
200W/mK
樹脂
0.2W/mK
0.16W/mK
ガラス
1W/mK
水(参考)
0.63W/mK

(資料:ケンプラッツより)

「一目瞭然ですが、アルミニウムは桁違いに熱を伝えやすいということが分かります。アルミと樹脂とを比べるとおよそ1000倍の違いがあります。これを見ればアルミ製の窓枠を選ぶ人はいないでしょう。しかし現在の日本では、そのほとんどがアルミ製なのです。主な世界の国々の窓枠の素材の割合についてグラフにすると以下のようになります。」

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参考:樹脂サッシ普及促進委員会・一般社団法人 日本サッシ協会

「日本の窓枠の約84%はアルミ製の窓枠(アルミと樹脂の複合窓枠:30% を含む)なのです。そして完全樹脂製の窓枠は15%程度しかありません。イギリス・ドイツ・フランス・アメリカなどでは 60~80%の割合で樹脂製の窓枠が使われており、 アルミ製の窓枠が使われている割合は、ほんの10%以下です。日本に近い韓国でも、樹脂製窓枠の占める割合は80%、アルミ製の窓枠は10%程度です。 もちろんそれぞれの国の気候や風土によって、その地に合った建築のあり方が存在するので一概には言えませんが、それでも私たちが当たり前と思っていた日本の断熱性能の低さに驚かれるのではないでしょうか?」

「しかし、日本の多くのハウスメーカーや工務店は樹脂サッシをあまり勧めません。アルミはそもそも原価が安くて加工も容易なため必然的に仕入れ値も下がっているということが一番大きい要因であると感じます。上記のように日本ではほとんどがアルミサッシですから、わざわざ高価な樹脂サッシの窓を選ぶのなら、他の部分にお金をかけたほうがいいですよ。と勧められたり、もとから標準仕様としてアルミサッシ(良くてもアルミ複合樹脂サッシ)に設定されているところも多いと思います。このように、施主様側からは気づきにくい部分にもかかわらず、品質を見定めて選べるかどうかは皆さんの判断に委ねられているのが現状なのです。」

「アルミサッシを多用した断熱性能の低い日本の住環境に、昨今の異常気象も重なることで、最悪の場合、家の中であるにもかかわらず夏は熱中症にかかり、冬は凍死する事故が起きてしまうのです。このように、目に見える部分の施工がいくらきれいになされていたとしても、健康面を考えると日本の住環境は、まだまだ不安が残る状況であると思っています。」

「そのほかにも、人々にとってより快適な住環境とはどのようなものなのか、例えば家の壁にはクロスが良いのか漆喰が良いのか、その場で目で見て手で触れて比べても、さほど変化や違いは感じられないかもしれません。ですがこれから何十年と住む住宅ですから、化学物質を含む製品よりも人々がこれまでの歴史のなかで慣れ親しんできた「自然素材」を取り入れることによって得られる快適さは、他に代えがたい価値として蓄積されると私たちは考えています。さらに、調湿性能や消臭効果など、実証データーもあります。」

「大半の住宅で使われているから、ビニールクロスが普通だから、と建材を選択する際も、そんな感覚を判断基準としてしまいがちではありませんか?しかし、日本基準は世界基準ではないということをもう一度、覚えておいて欲しいのです。私たちはそんな皆さんへ、本当に重要視すべき住環境の観点から住まいを変える方法をお伝えすることこそが役目であると考えています。」

3. 住環境を改善するのがnaturuthの役目

現在の日本の住環境を受けて、本当に住み心地の良い住宅を追求したものがnaturuthだ。その具体的な設計内容を聞いた。

「これまでお話ししたように、日本の住宅は質よりも量を優先して建設されてきました。naturuthでは、断熱性能や肌に触れる水にも注目して、これまでの住環境を一新できるような設計を行っております。もちろん性能面だけでなく、自然素材を活かした設計事務所ならではのデザイン性も兼ね備えています。

「現在は、ネットで検索すればたくさんのおしゃれな住宅の写真が出てきます。自然素材が体に良くて、デザイン性もあるということは多くの方がご存知かと思います。しかしハウスメーカーや工務店の中には、無垢材の良さを引き出せない施工を行っているところもあります。例えば、表面の仕上げ材に一般的な塗料を塗ると、木材が持つ吸湿効果やリラックス成分のある香りなどは失われてしまい、その塗料に含まれる化学物質は空気中に放出されてしまいます。そのほかにも、合板(※3)を無垢材として仕上げ面に活用するデザインも見かけますが、合板の製造過程は大量の接着剤が使用されており、表面的には木材だとしても、染み込んだ接着剤に含まれる化学物質によってシックハウス症候群になる方もいらっしゃいます。このように、正しい知識を持たない方が見た目だけで真似をすると、逆効果になってしまう事例もあります。ですので私たちは、より良い住環境へ向けた正しい知識を身につけるため、自然素材や住環境について大学教授とともに研究を行ったり、SNSを通じて各地の建築士と情報交換を行いながら、その地域にあった最善の方法を日々追い求めています。」

建材についての情報収集を繰り返し、吸放湿性能を向上させたnaturuthオリジナルの漆喰を開発したり、吉野杉の製造工場へ足を運び、天然乾燥と低温熟成を組み合わせた杉板に仕入れを厳選するなど、素材のひとつひとつにもこだわりと知識を持って取り組んでいる。

「また先程もお話ししたように、日本の断熱性能は世界的に見ても低いレベルであるといえます。現代の異常気象を踏まえると、高断熱にして寒さ・暑さから家族を守るためには、北海道や沖縄だけでなく、日本各地で高いレベルの断熱性能が必要となっています。皆様の住環境にあるべき断熱性能をご提供できるよう試行錯誤しています。」

「そして、人の肌に触れる水にもこだわっています。naturuthを必要とされる方の中には、既にシックハウス症候群やアトピー等を発症されている方も少なくありません。特に、さまざまな原因から引き起こるとされているアトピー症状の改善には、化学物質を取り除いた住環境だけでなく、飲料水やお風呂・シャワーの水等、生活に深くかかわっている水を改善することも、私たちからご提案できる一つの改善策だと考えています。naturuthでは、キッチンに浄水器を設置するのではなく、お風呂や洗面、ご自宅にあるすべての蛇口から浄水を利用できる「全館浄水システム」をお勧めしております。」

※3薄く切ったベニヤ板を複数枚圧着したもの

4. naturuthが日本の“スタンダード”になるまで

日本の住宅は、まだまだ低価格・施工のしやすさ・手に入りやすさ等に重きが置かれているのが現実です。これは消費者にも問題があります。○○坪○○円といった広告が出回り、広さと価格を競い合います。当然、売り側は、広くて安い住宅をつくろうと躍起になって、劣悪な住宅ができあがります。今こそ、この悪循環から抜け出すべきです。今では、住宅供給過多となり、空き家問題が発生するまでに至っています。これからは一軒一軒の住環境の品質にこだわり、心身ともに快適な生活を送ってもらい、後世にも残していける財産として、上質な住まいに変える時代にするべきだと考えています。

だからこそ私たちは、自然素材や断熱性能などの住環境を重視した住まいへのリノベ―ションを行うことで、一軒でも多くの住宅の住み心地を改善し、生まれ変わらせ、将来的には日本全国それぞれの地域に合った、「住宅の品質」の底上げにつなげたいと考えています。 naturuthを通して、健康について安心できる住まいを作る上での新しい建材にも常に目を向けながら、今の日本の理想とすべき住環境を常に追い続け、その良さを多くの方に発信・創造していく存在になりたいと思っています。

【記事を読む】まだなくなっていなかった!?『シックハウス症候群』の現状と対策方法について

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